SAFHC(Smart ARM+FPGA Heterogeneous-Cluster)
1.背景
近年,汎用CPUの低消費電力化や低価格化によって,クラスタシステムが普及している.クラスタシステムとは汎用の PC などの複数の計算デバイスを並列に接続し,一つの計算機と見立てて演算を行うものである.汎用 PCを利用するため,安価に構築できる反面,多くのノードを稼働させるため電気料金や修理費など運用コストが問題となる.
本研究室では,低消費電力でありかつ安価に入手できるARMプロセッサを搭載した組み込み向けコンピュータと,同様に低消費電力として知られているFPGAを組み合わせたSAFHC(Smart ARM+FPGA Heterogeneous-Cluster)を開発中である.従来,組み込み機器向けに開発されてきたARMプロセッサを採用することで,クラスタ全体の消費電力を下げることができると考えている.
2.システム構成
本研究で用いるSAFHCの構成を右図に示す.SAFHCのノードは2つのタイプが存在する.1つは小型のARMプロセッサを搭載した組み込み向けのLinuxコンピューとFPGA評価ボードをEthernetにより接続したノードである.もう1つはIC内にARMプロセッサとFPGAを搭載したZynq7000(米Xilinx)と呼ばれるデバイスを用いたノードである.それぞれのノードをEthernet上で接続することによりクラスタを構成する.Zynq7000とは,Xilinx社が提供するデバイスである.IC内のシステム上にARMデュアルCortex-A9 MPCoreプロセッサ(以下PSと呼ぶ)とProgrammable Logic(以下PLと呼ぶ)としてFPGAを搭載する.プロセッサとPLはARM社が策定しているAMBAというバス規格のAXI4バスで接続されている.
本研究では,PSでLinux OSを動作させる.そして,Linux OS上で実行する数値計算アプリケーションから,AXI4を通しPLに実装する数値計算用の演算器を利用する.
3.SAFHCで行う研究
SAFHCで行う研究は以下の通りである.
- FDTD法よる音波電波解析のハードウェア実装
- FDTD法による音波電波解析の低消費電力並列化
- モンテカルロシミュレーションのハードウェア実装
- 電力制御機構